2009年11月04日 00:01
謎に包まれた湖で、一体・・・。
まさかというタイミング。
鍋を火にかけ始められたYさん。
「先生、すぐにゆであがりますからね。」
「はあ」
できたら、胃が空になるまで、2時間ぐらいゆでておいて頂けないでしょうか。
でも、一体、何をゆでていらっしゃるんでしょう。
「あのー、ところで、それは・・・。」
「ああ、ぴょんぴょんですよ。」
ぴょんぴょん。
過去の伝説でも登場していますね。
盛岡冷麺の愛称です。
歯ごたえ、のどごしとも文句なし。
麺好きの私には、たまらない一品。
しかし、できたら、最初に頂きたかったですね。
「でも、久しぶりですね。ぴょんぴょん。」
「そうでしょ。やっぱり、もう10月でしょ?」
「なるほど。」
「でもね、見つけたの。」
「えっ?」
「いえ、難波の高島屋の地下で売ってたのよ。」
Yさん御用達は、もちろん、近鉄百貨店。
増える一方の買い物カゴで、それは証明済み。
何と言っても、お宅から500mくらいの至近距離。
一方、高島屋は、3kmくらい離れています。
だから、普段、足を運ばれることは、ほとんどないはず。
「ほら、前まで通販で買ってたでしょ?」
「はあ」
「するとね、毎回、送料がかかっちゃうんです。」
「なるほど」
「冷麺1パック頼んでも、送料は1,200円。」
「えー、そんなに高いんですか?」
「そう、クール便なんでしょうね。」
「なるほど」
「だから、直接、お店で買ったほうがお得なの。」
で、Yさんの幅広い人脈を活用して、探してもらったそうなんです。
その結果、高島屋の地下で発見したわけです。
で、発見されたのは、美容師の先生。
Yさん宅に出張してくれるんです。
もう10年以上のお付き合いだそうです。
「でね、『見つけたわよ!』って連絡をもらってね。」
「はい」
「嬉しかったんでね。」
「そうですよね。」
「『じゃあ、まとめ買いして!』って。」
「なるほど。」
「・・・あっ、そろそろゆであがるわね。先生、どんぶり、取ってください。」
「はいはい。」
麺をどんぶりに移され、キムチ、甘酢スープと、手際よく加えられます。
「先生、そのタッパー、取ってください。」
「これですか?」
さらに、キュウリ、りんご、トマトなど、具をトッピングされます。
「はい、先生。今日は、キムチを多めに入れておきますね。」
「(ああ、そんなに)・・・はい、ありがとうございます。」
当然、私の意向など、関係ありません。
まるで、ご自分が食べられるのかと思うぐらい。
スープは、真っ赤に燃えたぎっています。
「はい、お待たせしました。」
「・・・では、頂きます。」
「(辛~い)・・・いやあ、キムチがよく効いて、美味しいですねえ。」
「でしょ?私は、キムチはいつも控えめなんですけどね。若い人には、これくらいでいいのよ。」
「いいのよ。」って、誰が決められたのですか?
当たり前のように、辛いんですけど、私も。
でも、確かに辛いものの、冷麺は、相変わらず、美味しいですね。
「先生、今日の冷麺はね。」
「はい?」
「いつものとちょっと違うのよ。」
「えっ?キムチが多めってことじゃないんですか?」
「そんなの見たら、分かるじゃない。」
「はあ」
「分かりませんか?」
「具も、夏から頂いていたものと同じですよねえ。」
「そうですよ。」
一体、何が違うというのだろうか?
Yさんは、こういう隠し味が得意なんです。
で、それがPRポイントなわけです。
このツボを上手く刺激すると、ご機嫌は大いに麗しくなられるわけです。
ここは、何としても、Yさんの自尊心をくすぐりたいところ。
とにかく、正解できないとしても、それをもとに得意げに解説してもらえるような返答が望まれます。
それが、私に課せられた最低限の仕事。
まるで、1アウト2塁で、せめて、ランナーを3塁に進めなければならないように。
全神経を舌先に集中します。
う~む、辛さが先に立ち、微妙な変化を感じ取ることができません。
具は同じ。
当然、麺も同じ。
残るは、スープだけのはず。
まさか意表をついて、器ってことはないよなあ。
やっぱりいつもどおりの器だ。
以前、カレーにバナナと梨を隠し味にされてました。(緊急特番!「禁断の果実」)
多分、あんな感じで、見た目には分からないものなのでしょう。
しかし、調理されているところを私は見ていました。
そりゃ、ずっと目を離さずにというわけではありませんよ。
でも、目立った動きがあれば、分かるはず。
「えっ、それを冷麺に!?」
ってかんじで。
しかし、そんな素振りはなかったなあ。
スープも辛いものの、いつもと同じで、お酢をベースにしたさっぱり味。
これだけ分からないと、入れても入れなくても影響がないのではないか。
それこそ、ほんとの隠し味だ。
しかし、それでは、Yさんのご機嫌を損なうことになってしまいます。
何かひと手間、加えていらっしゃるはずだ。
「分かりません?」
「はあ、ちょっと難しいですねえ。」
「キムチを多めに入れたのも、そのためなんですけどね。」
「えっ、キムチと関係が・・・。」
これは、どういうことだ。
つまり、キムチと相性がいいものなのか?
本場韓国のキムチは、日本のキムチより、酸味が抑えられています。
「もしかして、お酢ですか?」
「ブブー」
効果音付きで否定されてしまいました。
いやあ、分からない。
ここは、「教えてください」攻撃で、かわすしかあるまい。
「う~ん、降参です。教えてください。」
「そお?ちょっと難しかったかもね。」
「いやあ、味オンチですいません。」
「実は、この冷麺はね・・・。」
「えっ!そ、そんな・・・。」
そんなのアリなのか。
まさかそういう攻撃があったとは・・・。
答えを耳にした瞬間、あらためて、思い知らされたのです。
Yさんの偉大さを・・・。
おかげさまで、Yさん伝説も40作を越えました。
あなたが、熱烈なYさんファンなら、この答えは分かるはず。
さて、その「ちょっと違う」中身とは?
-つづく-

