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ショッピングサイト【アクトスモール(ACTOS Mall)】
2009年06月のアーカイブ

2009年06月20日 00:01

ビジネスマン必読の斬新すぎる戦略。


お待たせしました。

予告どおり、行ってまいりました。

Yさん宅です。

Yさんでピンと来られない方は、こちらをどうぞ。

(Yさん伝説:10111213141516


「ちょっと待っててください。今、シャワーを浴びたところなんです。」

Yさんの声が奥から響きます。

治療を受けられる前。

必ずシャワーを浴びられるYさん。

しかし、今日は、さきほどまで来客があったようです。


「先生、すいませんね。適当にジュースでも飲んでてください。」

「お気遣いなく。ごゆっくり、どうぞ。」

ということで、お店の中で待たせてもらうことに。


Yさんファンなら、ご存じですね。

Yさん宅は、たばこ屋さん。

といっても、食料品や雑貨も扱っていらっしゃいます。


しかしね、これは、飽きませんよ。

いや、店内を見ているだけで。

まるで、Yさん宅の冷蔵庫の中を見ているようです。

そう、まさに「カオス(混沌)」な迷宮(ラビリンス)が、あなたの到来を待っているのです。


「おや、なぜ、手袋が・・・?」

ふと目にとまったのが、白手袋。

なぜ、こんなものがたばこ屋さんに。

手を伸ばしてパッケージを確認します。

「DRIVERS GLOVES」

つまり、運転手用の白手袋。

「なるほど、そうかあ。」


Yさん宅は、大阪でも有名な神社の参道に面しています。

静かな参道の木陰には、いつも数台のタクシーが停まっています。

絶好の仮眠ポイントなんですね。

また、すぐ横は、大阪でも有名なラブホテル街。

商売にもつながっているわけです。

「地域特性にあったラインナップなんだ。」

マッキンゼーも降参の素晴らしいマーケティングです。


しかし。

しかしです。

その他の商品は、全く意図が見出せません。


店内の最も目立つ場所。

ちょうど目の高さの棚に陳列されている主力商品。

入り口を入って、すぐ右の棚に5個。

横並びに陳列されています。

同じく左の棚にも。

さて、何だと思います?


正解は、コレ。

「カルビーのかっぱえびせん」

なぜ・・・なぜなんだ?

Yさん宅近隣は、神社、雑居ビル、ラブホテルと。

住居がほとんどありません。

目の前の公園にも、子どもの遊ぶ姿を目にしたことがありません。

それに、基本は、たばこ屋さんですからね。

誰が、かっぱえびせんを買っていくというのでしょう。


店内に足を踏み入れたお客さん。

視界の左右をかっぱえびせんに支配されてしまうのです。

NBA顔負けのゾーンプレス攻撃。


逆に、定番のポテトチップスは見当たりません。

これは、こだわりなのか・・・。

はたまた、卸の営業さんに、他の店では出ない商品をいいように押しつけられたのか。


そんな疑問が頭をよぎる最中(さなか)。

ふと誰かの視線を感じました。

「はっ、君たちか!」

その赤いパッケージから、屈託のない無邪気な笑顔。

見つめる者の視線を釘付けにして離さない吸い込まれるような少年の瞳。


「ビ、ビスコじゃないか・・・。」

そう、主力商品のかっぱえびせんの下の棚。

これも、店内の左右の棚に横並びに陳列されています。

右から5人。

左から5人。

心の底まで見透かされたような敗北感が私を支配します。


「売れるのか・・・ほんとに売れるのか、ビスコが。」

思わず賞味期限をチェックしてしまいます。

「ふう・・・とりあえず、大丈夫か。」


「あら、先生。何か飲んでてくださいよ。」

突然、お母さんが声をかけられます。

「あっ、はい。ありがとうございます。」

ビスコの少年の呪縛から解き放たれ、視線をクーラーケースに移します。

目線の高さ。

主力商品の棚には、彼らが鎮座されておられました。

オロナミンC。

ポカリスウェット。

不二家ネクター。(もちろん、ピーチ)


この三役揃い踏み。

昨今のコンビニでこのラインナップを目にすることは、ありません。

幼き頃、こども会のおやつには、欠かせなかった彼ら。

まるで、幹事長、総務会長、政調会長のように、他のジュースを圧倒しています。

最近の「出ては消える」炭酸飲料とは、格が違うのです。


しかし、真のフィクサーは、もう一段下の棚に身を宿されていたのです。

「・・・いかるが牛乳かあ。」

そう、メインは、たばこを買いに来るおじちゃん達です。

牛乳無くして、彼らとのコミュニケーションは成立しません。


「おや、これは、なんだ?」

ふと見ると、一番下の段。

新聞紙でくるんだつつみが、3つ並べられています。

よく見ると、誰かの名前が書かれたメモが、それぞれに輪ゴムで止められています。


これが、もし、電車の網棚に乗せられていたなら。

間違いなく「不審物」として、車掌に通報されることでしょう。

「これは、売り物なのか・・・。」

もう見過ごすことは、できません。

はち切れんばかりの私の好奇心は、すでに臨界点を超えていたのです。

「あのー、お母さん。ここに新聞紙でくるんであるものは、なんですか?」

「あー、それ。梅ひじきですよ。みんなに分けてあげるんです。」


「梅ひじき」とは、こんなものです。

まさしくご飯のベストパートナー。

Yさん宅では、らっきょとともに、必須アイテムです。

私も、何度かお土産に頂きました。


「はあ、梅ひじきですか。でも、なんで、店のケースに置いてはるんですか?」

次の瞬間、お母さんの口から衝撃的な言葉が吐き出されます。


「いやあ、冷蔵庫がいっぱいやから。」

「・・・。」


分かりやすい。

あまりにも、分かりやすい理由です。

「なぜ?」

と、疑問に思うことさえ、タブーに思えてしまいます。

そう、真理はいつでもシンプルなのです。

まるで、自らの邪推を諭されたかのようです。


いやあ、参りました。

さすがYさんです。

凡人とは、発想が違います。


私がYさんの偉大さに敬服していたのも束の間。

「えっ、なんだ・・・これは?」

レジ横に陳列されていたその品物を目にした瞬間。

私は、思い知らされるのです。

Yさんの奥深さは、そんな浅いものではないことを・・・。


-つづく。