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2009年08月のアーカイブ

2009年08月22日 00:01

かくして、Yさん帝国の電撃作戦は、快進撃を続けるのです。


行ってまいりました。

Yさん宅です。

Yさんでピンと来られない方は、こちらをどうぞ。

(Yさん伝説:101112131415161718192021222324



「さあ、先生、召し上がってくださいよ。」

いつもながらに、いつもの光景。

このセリフだけで、それまでの説明を一切省略できるのも、伝説シリーズの特徴です。


「いつもありがとうございます。では、頂きます。」

「今日はね、ちらし寿司を作ってみたんですよ。」

海老、錦糸卵、紅ショウガ、さやえんどう、しいたけなどなど。

まさに、具だくさんの一品。


で、ちょっと意外だったというか、安心したというか。

いつもなら、最低でも2.5人前以上は、盛られているはずなんです。

しかし、そのちらし寿司は、どう見ても、1.5人前。


ああ、とうとうYさんも気づいて頂いたのか。


金魚にエサをやり過ぎても、死んでしまいます。

菊に水をやり過ぎても、腐ってしまいます。

そして、私にご飯を与え過ぎても・・・。


これまでの数ある伝説の1ページが、まぶたの裏によみがえります。

私がそんな余韻にひたっているのも束の間。

前途に暗雲漂うYさんのお言葉。


「先生、このちらし寿司ね、ちょっと普通と違うのよ。」

「えっ、何か特別な調理法でも?」

「食べたら分かるから、食べたら・・・フフフ。」


Yさんが「普通じゃない」とおっしゃってるわけです。

これがどれだけ危険な兆候か。

伝説フリークの方なら、もうお分かりのことでしょう。


しかし、このこともお分かりですね。

私には、「食べる」ことしか選択肢が残されていないことも・・・。


「・・・では、頂きます。」

しかし、お腹が減っていることも事実。

いやしさとせつなさと心細さとを胸に、目の前の皿へと箸を伸ばします。


「こ、これはっ!」

最近、このセリフを物まねされる方がいて、困っています。

いちおう、著作権は私に帰属しますので(笑)

私の動きが一瞬止まります。


そのリアクションを満足げに確認した後。

Yさんの口から、やはり想定外の発言が飛び出します。


「ねっ、お酢が足らないでしょ?」

っていうか、分かってたら、足してくださいよ。


これが、また、絶妙な配分です。

まさに、普通のご飯と酢飯の中間。

お酢が効いているような、効いていないような微妙なさじ加減。


「・・・ちょっと足らないかもしれませんね。」

「でしょ。途中でお酢を切らしちゃったの。」


なるほど、お酢が足らなかったのですね。

それは、理解できました。

しかし、それを私に食べさせてから確認するという段取りは、理解できません。


そう、その時、私は理解してなかったのです。

まだ、混沌の世界の入口へと、足を踏み入れたに過ぎなかったことを。


「無理に食べないでくださいね。」

「いえいえ、具もたくさんありますから。」


やはり私のためにご用意頂いた手作りの一品。

できるだけ、具と一緒にご飯を口に運びます。


「いやあ、この海老も美味しいですよ。」

私が、半分くらい箸を進めた頃。

そのタイミングを見計らったように、Yさんの次の一手が繰り出されます。


「だからね、用意しておいたんです。」

「えっ?」


これも危険ですね。

満を持して、待ち構えておられました。

まるで、草むらに身を隠すハンターのように。

私は、罠の真上を通り過ぎるウサギだったのです。


「はい、コレ、○○の巻き寿司。」

〇〇とは、近鉄百貨店の地下に入っているお寿司屋さん。

「・・・。」

「ちゃんとしたお寿司も食べて頂かないとね。」


またもや、言葉に詰まる私。

いえ、そのお気持ちはありがたいんですよ。

しかし、ちらし寿司の後に、巻き寿司っていうのは・・・。


「そうそう、これも一緒に買って来ちゃったんですよ。」

「えっ・・・。」


そう、これこそ、混沌の世界なのです。

私の目が釘付けになったその一品。

同じく〇〇のいなり寿司。


「ここのおいなりさんは、絶品なのよ。」

「・・・はあ。」

「あの店に行ったら、これを買わないわけにはいかないでしょ?」


それ、私に同意を求めていらっしゃるのですか?

いえ、もちろん、分かっています。

それが、「同意」ではなく、「恫喝」に近いことさえも・・・。


このちらし→巻き→いなりというお寿司づくし。

まだ、にぎりがあれば、ある程度は、お箸も進むでしょう。


しかし、このご飯もの3点セットは、手強い。

まるで、ベルリン→ビザンチウム→バクダッドと、ドイツの3B政策のような強力な連携プレー。

Yさん帝国主義は、着実に私の領土を植民地化していくのです。


この場合、味が単調にならないよう、「三角食べ」を実践するしかありません。

そう、できるだけ、ちらしと巻きの間に、いなりをはさんで、味にアクセントをつけるのです。


もちろん、巻き寿司についていたガリは、大事なパートナー。

最後まで、消費量に気をつけながら、合間に口に放り込みます。


「先生、お寿司ばっかりじゃ、つらいでしょ?」

分かっていたら、手加減して頂けませんか。


「だから、救いの手を差し延べてあげるわね。」

これも危険な発言です。

一歩間違えると、とどめの一手になりかねません。


「ジャジャジャーン♪」

出ました。

Yさんの体内アドレナリン放出量が、一定以上に達すると鳴らされる自家製ファンファーレ。

これは、黒魔術の儀式で、生贄が差し出された時にも自動的に適用されます。


「はい、コレ。」

「こ、これは!?」


その時、目の前に差し出された一品。

実は、お土産にもらってきちゃいました。

コレです。


見るからに危険な色をしていますね。

Yさんのテンションも一気にあがります。

まるで、赤い布に興奮するスペインの闘牛のように。


果たして、この一品の正体は?

そして、それは、平和的に有効活用されるのか?


-つづく-