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お待たせしました。
行ってまいりました、Yさん宅へ。
うちの患者さんや友人のなかに、ごく少数の熱烈なファンを持つYさん。
これまで、いくつかの伝説をつくってこられました。(伝説1、2、3)
そして、ここに新たな1ページを歴史に刻まれようとしています。
Yさんは、お琴の師匠。
時々、発表会や高齢者施設などへの慰問もされています。
で、観客向けに歌詞や曲の解説などを記した演奏題目を作る必要があります。
以前は、手書きで書いたものをコピーされていたようです。
しかし、最近、全てパソコンで作成したものに切り替わったんです。
そうですね、ここ2、3ヶ月の話でしょうか。
ちょうど私が、Yさん宅でパソコンを発見した時期と一致します。
おかげで、私も民謡に詳しくなりました(笑)
その日もいつもどおり、Yさん宅へ出張治療へ伺いました。
「こんにちは~、谷田です。」
「あっ、先生。待ってたのよ。」
と、着くなり何なり、Yさんはコードレスホンを手にとり、どこかへダイヤルされています。
「あっ、お待たせ。さっき言ってた専門の人と変わるから・・・はいっ、先生。ちょっと聴いてあげて。」
「(専門の人って?)・・・はい、お電話変わりました。谷田と申しますが。」
「あのー、電源が入らないんです、パソコンの。」
それは、Yさんの長年の親友であるWさん。
Wさんは、Yさん曰く、
「わたしらの中では、パソコンを使わせたら一番やの。いつもインターネットで
いろいろ調べてもらっているんよ。」
この「わたしらの中では」というところがミソですね。
その日も、YさんがWさんにインターネットで調べて欲しいことを頼んだそうなんです。
しかし、いつも使っているノートパソコンは、息子さんが出張に持って行かれたらしいんです。
で、仕方なく、ほとんど使ったことのない少し古めのデスクトップのパソコンで
検索しようとされたようです。
ところが、パソコンの電源を入れても起動しない。
二人して困っておられたようです。
「そうや、今日、パソコンに詳しい鍼の先生が来るから、後で電話するから待っててね。」
時計の針を戻すとそういうことだったみたいです。
「つまり、電源ボタンを押しても画面が真っ暗なままなんですね?」
「そうです。いくら待ってもウインドウズの画面にならないんです。」
「あのー、大変失礼かもしれませんが、基本的なことを確認させてもらいますね。」
「はい、お願いします。」
「電源ボタンは、軽くポンッと押されてますか?指でずっと長押ししたりされてませんか?」
「それは、大丈夫です。ノートパソコンと同じですから。」
「そうですね、ありがとうございます。」
ちょっとムッとされたWさん。
「こう見えても私は、パソコンを始めて、かれこれ・・・(後略)」
「それは、失礼しました。ほんとお詳しいんですね。」
「まあ、私も基本的なことは分かっているつもりです。」
「そういうWさんにほんと恐縮ですが、押されているボタンですが、
電源ボタンに間違いないでしょうか?他にも・・・」
「いえ、これは間違いないです。○に|が刺さったようなマークがついていますよ。
これは電源のマークですよね?」
「はい、おっしゃるとおり、電源ですね・・・う~ん。」
はてさて・・・ちょっと困りました。
私の頭の中で、これまでたくさんご縁を頂いた京都のKさんをはじめとする
「想定外の方々」のケーススタディがかけめぐります。
・・・1件、ヒットしました。
「あのー、Wさん。その電源ボタンって、テレビのような画面の下についている
電源ボタンを押されてますか?」
「そうですよ。」
もうお分かりですね。
「Wさん、そのパソコンラックの足元あたりに、縦長の箱のようなものがありませんか?」
「あっ、はい。足元にありますね。」
「そこにも電源ボタンのようなものがありませんか?」
「・・・ついてます。これですか?」
「そうなんです、それです。押してみてください。」
当然、正常に起動しました。
「デスクトップ型のパソコンの本体、その縦長の箱ですが、
実は、そこにパソコンの脳みそが入っているんです。」
「・・・はあ」
「ディスプレイというテレビのような画面は、ただ、その結果を映すだけなんです。
だから、本体の電源を入れないと何も表示されないんですね。」
「そうだったんですか。」
「ノートパソコンは一体になっていますから、ややこしいですね。」
Wさんは、さきほどまでの勢いもどこへやら、しおらしく聞いてらっしゃいました。
Yさんもひと安心。
「さすが先生。Wさんも今回ばかりは、『能ある鷹は爪を隠す』やね。」
それって、ことわざの使い方、ビミョーに違うと思いますよ。
というか、隠さないでいいですから、爪。
「じゃあ、治療させてもらいましょうか。」
といって、Yさんにベッドに寝てもらいました。
しかし、台所では、大きな鍋がグツグツ煮えていることに
その時の私は、気付くすべもありませんでした。
ということで、続きは明日です。
では、今宵はこのあたりで。
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