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行ってまいりました。
そう、Yさん宅です。
最近、ご来院される方から訊かれました。
「次、いつ行くんですか?」
「はぁ・・・どこへですか?」
「Yさんとこですよ、Yさん。」
「・・・」
いちおう、言わせてください。
私は、ご飯を頂きにYさん宅へ行ってるのではありませんからね(笑)
ですが、今日も施術を終えて、また、夕食をごちそうになりました。
すでにご用意頂いているのです。
なんと今日は、うなぎ。
「昨日、土用の丑の日だったでしょ。」
「ああ、そうでしたね。今年は確か2回ありましたよね。」
そう、立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間を土用といいます。
季節と季節をつなぐ変わり目ですよね。
過去のブログでもお話ししたところです。(「実は4回あるんです。」)
立秋前の夏の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣は、江戸時代から続いています。
今年の土用は、7月24日と8月5日の2回、丑の日があるんです。
2回目の丑の日、つまり、今年なら8月5日を「二の丑」といいます。
「先生は、昨日、うなぎは食べはったんですか?」
「いえ、食べませんでした。」
「そう、それなら良かった。私たちは、昨日、食べたんです。」
本能的にチラッと危険予知が発動します。
「実は、昨日、先生のためにうなぎを取り寄せておいたんですよ。」
「あっ、そうですか。それは嬉しいですね。ありがとうございます。」
ほんとこのお心遣いは、ありがたいですね。
「そうそう、先生、四万十川って知ってはります?」
「ええ、高知県の清流ですよね。」
「実は、私は高知の出身なんです。」
「じゃあ、四万十川にはよく行かれたんですか?」
「そうなのよ。よくぞ訊いてくれました。昔ね、いとこの〇〇ちゃんと一緒に夏になると・・・」
そこから、いつものように物語が始まってしまいました。
Yさんは、ツボにハマると、息をするのも忘れるぐらいにお話がとまりません。
アスリートでいう「ゾーンに入った」状態です。
まるで、結婚式で舞い上がった新婦のお父さんのように。
起承転結が読めないスピーチが延々と続きます。
で、要約すると、以下のとおりです。
1.四万十川の自然はいかに美しいか。
2.Yさんがいとこの〇〇ちゃんより、泳ぎが上手である。(自称)
3.四万十川の天然うなぎの味は絶品である。
大体、2~3分でまとめられる内容ですが、10倍近い時間をかけて、
ゆっくり堪能させて頂きました。
なかでも、ポイントは、四万十川の天然うなぎです。
身がしっかり厚いのに脂っこくないそうです。
ということは、今日、取り寄せて頂いたというのは・・・。
「えっ、まさかYさん。この目の前にあるうなぎって・・・」
「そう、四万十の天然ものよ。」
「ええーっ、いいんですかあ、食べちゃって!」
「そのいとこに頼んで、貴重な天然モノを送ってもらったんです。」
以前、テレビで観たことあります。
四万十川の天然うなぎ。
ほんとに滅多に食べられないはず。
これは、何という幸せ。
早速、頂きます。
年配のお二人でも食べられるよう、白焼にされてます。
たれをつけないで焼いたやつですね。
それをご飯とは別に、お皿に盛り付けてられます。
「うわあ、おいしいっ!」
「でしょ?何といっても天然モノですから。」
たっぷりYさんの四万十伝説を伺った後だけにその美味しさも絶品です。
Yさんもお母さんも嬉しそうに私を見ています。
「そんなに美味しいですか?」
「ええ、そんなに美味しいんです(笑)」
「ほんとに美味しいんですか?」
「ええ、ほんとに美味しいんです。」
「ほんまに?」
「えっ?ほんまですけど・・・。」
そう言うと、Yさんもお母さんも下を向いて、クスクス笑ってはります。
「あのー、これって・・・。」
「そう。実は近くの魚屋さんで買ってきたんです。いちおう、国産ですけど・・・ククッ。」
「えっ、四万十の天然じゃあないんですね・・・。」
「そう、違いますよ。今、流行の『産地偽装』・・・クククッ。」
そう言って、お母さんとともに大笑いされています。
「いやあ、あんまり美味しそうに食べはるもんやから。」
やられましたね・・・まあ、いいですけど(笑)
「はは・・・そうですか。でも、美味しかったですよ。」
「『美味しかった』って・・・まだ、たくさんあるんですから。」
お母さんもかぶせてきます。
「いくら白焼にしても、年寄りにうなぎ一尾は多すぎますから。」
そう言って、ご自分のうなぎを半分、お皿にとりわけられました。
「先生、山椒はかけておきましょうか?」
「あっ・・・はい、ありがとうございます。」
そう言って、お母さんは、オマケでついてる山椒の袋をあけてかけはじめました。
「じゃあ、これをパラパラと・・・」
油断してました。
(お母さん、それはかけ過ぎですよ・・・。)
みてるうちに、半分ほどのうなぎに、山椒を全部かけてしまわれています。
「はい、どうぞ。」
「・・・はい、ありがとうございます。あのー、お母さんの山椒は?」
「私はかけないんです。」
「・・・」
おばあちゃん行動学でいう「封を開けたものは、もったいないので使い切る」という
行動特性をすっかり忘れていました。
「じゃあ、先生。ご飯もおかわりしないと。」
お母さんから通った見事な縦パスをYさんがドリブルでつなぎます。
「あっ、そうですね。じゃあ、遠慮なく、頂きます。」
「先生、悪いですけど、ご自分でよそってもらっていいですか?」
「あっ、はい、もちろん。」
で、炊飯ジャーを開けて・・・。
「あのー、Yさん。これ、フタですか?」
「そう、中フタが外れているんです。」
分かりますか?
本来、開けたフタ側についている中フタのネジがはずれて、
おかまにフタをしたようになっています。
しばし観察しましたが、持つところがありません。
で、フタをどけようと、つかんでみたら・・・。
「あつーぅ!!」
「あらっ、先生。熱いに決まってるじゃない(笑)」
「・・・ってこれ、どうやってあけるんですか?」
「えっ、こうやって、ピッてつまんで、サッとどかすんです。」
つまり、「策なし」ということです。
「・・・修理されないんですか?」
「古過ぎて部品がないみたいなんです。」
Yさんは、ハイツやアパートなども持っておられ、資産家のはずです。
お金持ちって、こういうとこ、しっかりしてはりますよね。
「でも、コツさえつかめば、大丈夫ですから。」
あまりつかみたくないです、そのコツ。
で、ご飯をおかわりして、お母さんに頂いたうなぎを頂きます。
効いています。
はい、しっかりと山椒が。
鼻の粘膜をこれでもかというくらい刺激してくれます。
この状況を打開するには、一緒にご飯をほおばって、口の中での滞留時間を短くして、
さっさと胃袋へ運び込むことです。
そんなコート全体を見渡す余裕のない私に厳しいフォワードの攻めが押し寄せます。
ブラインドサイドのあいたゾーンに、Yさんが見事なキラーパスを通してきます。
「あらっ、先生、食が進みますねえ。ほいっ、私のも。」
そういって、箸で適度な大きさにわったうなぎをホイッと私のお茶碗の中へ放り込んでこられます。
「はいはい、どんどん食べてくださいね。私も一尾は無理だから。」
だったら、最初から一尾ずつ買わなければいいのに。
もはやゴール前には、ディフェンダーは一人もいません。
「あらっ、水茄子のお漬物が出てないわ。」
オフサイドまがいのYさんのシュート。
ゴールキーパーも一歩も反応できません。
おばあちゃん行動学のひとつ。
「自分で漬けた漬物は、必ず出す。」
さすがに、ご飯と一緒に食べる余力もありません。
出された水茄子の漬物をお茶うけにして、平らげます。
もう満腹です。
さすがに、白焼でも2尾以上食べましたから、結構、胃にきます。
うなぎを食べて夏バテを乗り切るどころか、今夜も胃のツボに鍼ですね。
まあ、産地偽装事件のおかげで、Yさんもお母さんも普段以上に盛り上がってくれました。
サービス業としては、これが一番なんでしょうね。
「でも、これって、ほんとありがたいことやよねえ。」
そう、しみじみとうなぎの余韻にひたりながら、帰路のハンドルを握る私でした。
たとえ、助手席の水茄子から、返事はなくとも。
連日続く猛暑。
地球的な温暖化と呼応して、Yさん伝説はさらにヒートアップしていくのか!?
今後もそっと見守ってください。
・・・そっとですよ(笑)
ということで、今宵はこのあたりで。
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