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ついに、まなブログにも色気づいた話が!?
行ってまいりました。
お待ちかねのYさん宅です。
Yさんでピンと来られない方は、こちらをどうぞ。(Yさん伝説:1、2、3、4、5、6、7、8)
最近、Nさんの天国シリーズにお株を奪われ気味のYさん。
抑圧されたエネルギーを発散させるかのように、久々のブレイクです。
今日もYさんとお母さんの治療を終え、Yさんと一緒に食卓を囲ませてもらいます。
お母さんは、夕方、先に食事を済まされたとのこと。
すでに、お休みモードに入っておられます。
今日は、Yさんもタバコ屋さんのお仕事が忙しかったようです。
つまり、ご自分で調理される時間がなかったんです。
で、近くのお寿司屋さんから、天ぷらをとって頂いたんです。
「先生、よく食べはるから、これだけじゃ足らないでしょ?」
「いえ、十分ですから、ほんとに。」
「そう言わんと・・・他にもたくさんあるのよ。」
そう、Yさん宅のキッチン、冷蔵庫には、たくさんのビンが所狭しと並んでいます。
それは、カレーのスパイスだったり、乾物だったり、自家製漬物だったり、佃煮だったり・・・。
保存食にもなり、また、すぐに食べられるという意味では、ファーストフードでもあるんです。
「じゃあ、今日は、これと、これと、あー、これもいいわね・・・。」
そう言いながら、ビンをチョイスされながら、Yさんが食卓に並べていかれます。
「じゃあ、ちょっと手を洗わせて頂きますね。」
お灸で汚れた手を洗いに洗面所をお借りします。
で、戻ってきて、食卓を見ると、ビンが10本以上、林立しています。
今、私に与えられたミッション。
それは、この全てに箸をつけ、絶賛するというものです。
任務の重圧につぶされそうになりながらも、席に着きます。
「さあさ、先生、天ぷらが冷めないうちにどうぞ。」
「はい、では、頂きます。」
「あっ、ちょっと待って!」
出ました、Yさんお得意の「ちょっと待って」攻撃です。
「先生にそのお茶碗は、小さいですよね。こっちを使ってください。」
差し替えられた器は、お茶碗というより、丼といったほうが的確であると言わざるを得ません。
「先生が来るから、今日はご飯も三合、炊いておきましたからね。しっかり食べてもらわんと。」
えっ、三合!?
ちょっと待ってくださいよ。
三合といったら、少なく見積もってもお茶碗6杯分はありますよね。
お母さんは、もう食事を済まされ、すでにお休みモード。
で、Yさんは、ダイエット中とかおっしゃって、お茶碗に七分目。
じゃあ、後の残りは誰が食べるというのでしょうか?
「それは、炊き過ぎでしょ!」
と言えたら、私ももっと出世したかもしれません(笑)
天ぷらは、ほんとに美味しかったです。
でも、それだけ、食べていればいいというものではありません。
つまり、「ビンの林」に足を踏み入れなければいけないのです。
で、私が自由に箸の行き先を選べるかというと、そうではありません。
それぞれのビンごとに、Yさんの思いが詰まっているのです。
それを拝聴するまでは、「禁開封」状態なのです。
「これはね、私が結婚して間もない頃に義理のお母さんに教えてもらった佃煮でね。」
「このらっきょうは絶品なのよ。前なんか、従姉妹の〇〇ちゃんが、このらっきょうが食べたいからって・・・。」
「この塩こぶはね、四十年来の付き合いのある乾物屋さんでね、めったに手に入らないという・・・。」
「はあ」
「ほお」
「それは、それは。」
天ぷらがすっかり冷め切ったその頃。
ついに、Yさんから、「箸をつけて良し」という勅命が出されます。
「先生、何してんの、早く食べないと!ほらほら、天ぷらも冷めてますやん。」
いろいろ迷いますが、ここは、自分の好みで選んではいけません。
Yさんの解説に一番熱のこもっていた佃煮から頂くのが本道というものです。
「んっ!これは、ほんとに美味しいですね。こんな味は初めてです。」
「ねっ、そうでしょ?これはね・・・」
リピート再生ボタンが押される前に、次のビンに箸をつけます。
そうやって、着実に仕事をこなしていったかのように見えた中盤。
一見、順調に事が進んだかと思える時こそ、一番事故が起こりやすいのです。
「んっ、これは何だ!?」
「ビンの林」に隠れるように、少し形の違う広口のビンが目に入りました。
無意識に箸先をそのビンの口に持って行ったその時。
私の脳が、その物体を初めて正確に「認知」したのです。
0.5秒後、私の背筋が凍りつきました。
「うわぁー!」
我ながら、情けない叫び声をあげてしまいました。
「先生、どうしたんですかっ!」
その物体とは何か?
おじいちゃん、おばあちゃんと同居なさっている方は、もうお分かりでしょう。
そう、あれです。
いつものあれですよ。
Yさんが、私に蔑みと憐れみの目を向けられます。
「なんだ、お母さんの入れ歯じゃないですか。」
「はあ・・・すいません。ちょっとびっくりしちゃって。」
「先生、間違えて、食べようとされたんですか?」
「あっ、いえ・・・つい、その・・・。」
「そんなことしたら、うちのお母さんと間接キスですよ、ははは。」
それは、「間接」という表現が適切なのでしょうか?
ある意味、「直接」よりも、心臓に悪いと思われます。
騒ぎを聞きつけたお母さんが台所に顔を出されます。
「ねえねえ、お母さん、聞いて~。」
Yさんが嬉しそうに話されます。
お母さんのふがふがと空気の抜けた笑い声が食卓に響きわたります。
確か以前は、湯呑みにつけられていたはずなんだが・・・。
そんな回想にひたりながら、こわいもの見たさで、横目でそれを確認します。
それは、まるでここが私の居場所だと言わんばかりに、しっかりと存在感を主張されています。
また、咀嚼という一日の重労働を終え、癒しの湯船につかっているかのようにも見えます。
まるで、目玉のおやじがお碗のお風呂で寛いでいるかのように。
生理学的に解説しましょう。
視覚がとらえただけでは、物体を識別することはできません。
脳が認知してこそ、ヒトは初めて正確にその物体を識別できるのです。
佃煮やらっきょうのすぐ横に並んでいたビン。
つまり、その時点で、同じ食べ物だと言う先入観が、私の脳を支配していたのです。
その安心しきって弛緩した脳が、一気に緊張の頂点にまで上り詰めたこの落差。
東洋医学では、腎は「恐怖」や「驚き」で傷むんです。
ただでさえ、最近、睡眠不足で傷んでいた私の腎に、非常に効果的な一撃を与えてくれました。
ひと息ついて、次のビンに箸を伸ばそうとした瞬間。
冷静さを取り戻した脳がアラームを鳴らします。
(あっ、さっき、箸の先が湯船につかったよな。)
ん~、この状況判断は難しい。
ここで、露骨に箸を変えるのは、どうだろう?
「あっ、すいません。お箸を落としてしまいました。」
「あらっ、先生。動揺したんじゃないんですか(笑)はい、じゃあ、代わりにこれを。」
我ながら、なかなか適切な処理であったと自負しております。
こうして、また、新たな伝説の1ページが刻まれました。
「ブログをもとに本を出版されたら、どうですか?」
最近、何人かの方にそんなお言葉をかけてもらうようになりました。
その場合、Yさんにもいくらか印税を払わなければいけないんだろうか?
夢物語でそんな皮算用をしながら、帰路のハンドルを握る私でした。
Yさん伝説は、まだまだ続く・・・の?
さて、ここでみなさんにお知らせです。
実は、今週の14日(金)から19日(水)まで、東京~新潟と講演に出かけてまいります。
で、その原稿がまだ完成してません。
追い込まれないとやらない悪いクセは、未だに治っておりません。
ということで、少し早いですが、明日からしばらくお休みさせてもらいます。
お土産話を仕入れてきますね。
ちなみに、新潟は、今の時期、何が美味しいんでしょ?
ご存知の方は、教えてください。
では、今宵はこのあたりで。
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