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そう、蓄積された灼熱のマグマは、今にも噴火せんばかりに私の来訪を待っていたのです。
さて、長年、「まなブログ」をご覧頂いている方は、もうお分かりでしょう。
このタイトルから、すでにお察しのことと存じます。
行ってまいりました。
お待ちかねのYさん宅です。
およそ2ヶ月半の沈黙を破って、ここにそのベールを脱がれたのです。
「Yさん」でピンと来られない方は、こちらをどうぞ。(Yさん伝説:1、2、3、4、5、6、7、8、9)
なんと記念すべき10作目なんですね。
まるで、「007」シリーズのように積み重ねた歴史を感じます。
実は、これがYさん宅への今年最初の出張治療だったんです。
何度かご連絡を頂いていたものの、お互いに日がうまくあわなかったんです。
しかし、その利子は、私が気付かないうちに、闇金以上に膨れあがっていたのです。
その日もYさんの治療は、無事、終わりました。
そこからが、ショータイムの始まりです。
「いやあ、先生、ごめんなさいね。」
「はっ?どうされたんですか?」
「いや、今日はバタバタしてて、お食事を作る暇がなかったんです。」
「ああ、いえいえ、結構ですよ。今日は、すぐに失礼しますから。」
「ちゃうのん(違うのよ)、食べてもらいたいものは、ちゃんと用意してますから。」
「あっ、そうなんですか。そんなお気遣いなく。」
そして、キッチンへ導かれた私。
「実はね、近鉄百貨店の地下でおいしいサラダ巻きがあってね。それが・・・(後略)」
そこから、新春ドラマ『サラダ巻き物語』が始まります。
「はあ。」
「ほお。」
「それは、それは。」
いつもどおり、自らの心理的負担の軽減を最大限に考慮した受け答えに終始します。
で、そのサラダ巻きを頂くわけです。
「はい、これ。残しても仕方ないから、全部食べてくださいね。」
えっ、一本全部ですか・・・。
しかも、結構、太いし・・・。
内心そう思ったものの、そこは、頂かないわけにはまいりません。
「あのー、Yさんは召し上がらないんですか?」
「ああ、私も、お母さんも、お昼に食べましたから。」
私の腰のひけたジャブも軽くいなされてしまいます。
さすがにドラマ化されるだけあって、なかなかのお味です。
「あっ、これはおいしいですねえ。」
「でしょ?そのサラダ巻きはね・・・(後略)。」
傍(かたわ)らで、Yさんの『サラダ巻き物語』が再放送されています。
パターン化された相づちを打ちながら、黙々と食べ続ける私。
さすがに、後半はペースが落ちてきます。
しかし、何とか完食したのも束の間。
「はい、じゃあ、次はこれね。」
お次は、ちりめんじゃこです。
ご飯もないまま、ただ、じゃこをつまんで頂きます。
「ねっ?これ、風味が違うでしょ?」
「はあ、そうですね。また、これは郷土から取り寄せられたんですか?」
「いや、このちりめんじゃこはね・・・(後略)」
一言で言うと、「いとこのSさんにもらった」だけなんです。
が、そこは右脳が人一倍発達されたYさん。
まるで『美味しんぼ』の解説のように、五感をくすぐる描写が続きます。
「なるほど、やはり普通のじゃことは、違いますねえ。」
「そりゃ、そうよ。なんたって、このじゃこは・・・(後略)」
再放送を3回くらい、うやうやしく伺います。
で、そこから続く「お惣菜オンパレード」。
佃煮、浅漬け、岩海苔、酢の物・・・。
まるで、デパ地下を試食し歩いているかのような錯覚に陥ります。
Yさんは、その度に、添乗員のように、丁寧に、ひと品ひと品、解説を続けてくれるわけです。
これ、録音して、それぞれの販売店に送ってあげたら、喜ぶだろうなあ。
そんなことに思いをめぐらせながら、「一品メドレー」をクリアしていきます。
「あっ、そうそう、あれがあったわ。」
新たなドラマを予見して、私の体内にアドレナリンが分泌されます。
「お口直しのデザートですよ。」
そうやって、冷蔵庫を探られます。
「あれー、どこになおしておいたんやろ・・・。」
Yさん宅の冷蔵庫は、巨大なんです。
アメリカ人並みの大容量。
「ちょっと先生、冷蔵庫の扉、持っててもらえます?」
「あっ、はい。」
「どこ、行ったのかしら?」
本格的に両手を使って探られるYさん。
他人のお宅の冷蔵庫の中をのぞき見るのは、あまり感心できることではありません。
しかし、見えてしまったものは仕方がない。
そこには、「にぎやか」というより、「カオス(混沌)」と表現したほうが適切な世界が扉を開けていたのです。
上から下までビッシリと詰め込まれています。
多種多様なビン類、魚の切り身、なぜかコンビニのサンドイッチ・・・。
「今日は、冷蔵庫、ぎっしりですねえ。」
「えっ?まだ、すいてるほうよ。」
これで、すいているんですか・・・。
私には、これ以上、モノを入れる余裕はないように見えるんですが・・・。
で、その「あるもの」を探すべく、手前にあるビンやら何やらをバケツリレーのように私に手渡されます。
「いろいろ漬けていらっしゃるんですね。」
「そうでしょ?いつでも食べられる保存食よ。」
中には、タツノオトシゴかと思うような意味不明のものまで漬かっています。
「あー、あった、あった!こんなとこになおしてたんや。」
まるで川口浩探検隊がツチノコを発見したかのように、Yさんの嬌声がキッチンに響きます。
そこから、取り出されたもの。
それが、その後の私の命運を左右することになろうとは・・・。
その時の私には、知る由(よし)もなかったのです。
・・・つづく。
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