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さあ・・・出てきてもおかしくないですけど。
行ってまいりました。
Yさん宅です。
Yさんでピンと来られない方は、こちらをどうぞ。
(Yさん伝説:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22)
最近、Yさんの動きが活発です。
みなさんの期待をエネルギーにしているとしか思えません。
そんなことをされては、書かずにはいられないじゃないですか。
できれば、もう少しペースを考えて頂きたいんですが。
しかし、そんな私の戯言など、どこ吹く風。
今日もYさんは、新たな伝説の1ページを刻まれていくのです。
まるで、それを語り継ぐのが、私の天命だと言わんばかりに・・・。
「あっ、そうそう、先生。」
「はい?」
仲良しのOさんのお孫さんの顔が、朝青龍にそっくりだった。
そんなリアクションに困る話題を熱く語りかけていたYさん。
急に、頭の上に電球が光ったようです。
「先生は、お風呂に入られる時、何で身体を洗ってはります?」
はぁ?
なんだこの質問は・・・。
過去の教訓から、早めに注意報が発令されます。
明らかに、それ以上の別の意図を感じます。
しかも、外堀を埋めていくような言い回し。
これは、うかつに答えられません。
しかし、その意図が全く読めません。
仕方あるまい・・・ここは正直に。
「私は、天然塩で洗ってますよ。頭も、身体も。」
「あら、お塩ですか。私も昔は、そうでしたよ。」
でも、口調はややトーンダウン。
これは、Yさんの意に添った回答ではなかったようです。
迫りくる危機を回避したのか?
それとも、悪化させたのか?
まだまだ、予断を許しません。
「じゃあ、お母さんは、何で洗ってはります?」
えっ、そう来ましたか。
もう私は、ターゲットから外れたのでしょうか?
てっきりロックオンされたと思いましたが。
「さあ、多分、ボディソープだと思いますよ。」
「あら、そうですか・・・。」
これも、Yさんの意にそぐわなかったよう。
「じゃあ、お父さんは、何で?」
もう、これは、強い意志を感じますね。
意地でも、目的の答えを導き出そうという(笑)
しかし、その目的が見えないんです。
「さあ、父もボディーソープだと思いますよ。」
「あら、そうですか・・・。」
意気消沈しかけたYさん。
しかし、次の瞬間。
私は口にしてしまったのです。
「ああ、もしかしたら、石鹸も使ってたかもしれませんねえ。」
まるで、身内にまで応援演説を断られる麻生総理のような不用意な発言。
このひと言が、その後の私の運命を決定づけるとは・・・。
その時は知る由(よし)もなかったのです。
「せ、石鹸ですね。石鹸を使ってるんですね?」
これだったんです。
この言葉を待たれていたのです。
Yさんの瞳に妖しい輝きが戻ってきます。
「はあ、洗い場にありましたね、石鹸が。」
「お父さんが使ってはるんですね。」
もうこれで、自供はとれた。
と、言わんばかりにYさんがたたみかけます。
「・・・だと思いますよ。私は使いませんから。」
Yさんの口元が、ニヤッとゆがみます。
もうこの際、事実は関係ない。
自供さえ取れたら、有罪に持ち込めると言わんばかりに。
これは、危険です。
どうやら、まんまと誘導尋問にハマってしまったようです。
これでは、再審を請求しても即座に却下されそうです。
弁護士を呼ぶ暇もなく、身柄は検察庁に送致されます。
「実は、先生にプレゼントがあるんです。」
「はあ、それはどうも・・・。」
間違いなく、今、思いつかれましたね。
「先生、こっち来て、こっち。」
あれ、足が痛かったんじゃないですか?
と、思わず問い詰めたくなるくらいスタスタと廊下を進まれるYさん。
ほぼ私の背の高さくらいまで、うず高く積まれたダンボール箱の山。
おかげで、どこかの組事務所のように、通路はギリギリ一人しか通れません。
消防署の立入検査があれば、間違いなく、指導されることでしょう。
そう、冷蔵庫だけではなかったのです。
まさに、家の中そのものが、「混沌」だったのです。
「先生、ここ、ここ。この下の箱です。」
まるで、ポチに穴を掘らせる花咲かじいさんのように、Yさんが指差されます。
そこには、熨斗(のし)がついたままの箱が、何段にも積まれています。
「やっぱりお中元だな。」
4箱ほど、山を崩したその時。
信じられない文字が、私の目に飛び込んできたのです。
「お・・・歳暮」
出た。
ついに、出てしまいました。
寝かしておかれたのですね。
しかし、ワインセラーではありません。
あらためて、思い出させてくれました。
ここがYさん宅であることを。
しかも、これは、怖いですよ。
みなさん、普通に、去年のお歳暮だと思ってませんか?
私も、そう思いたい。
私も、そう思いたいんです。
でも、そうとは言い切れないのが、Yさんの奥深さです。
「先生、早く。その下ですよ。」
一瞬、手が止まった私。
しかし、それを見逃すYさんではありません。
まるで、北朝鮮の強制収容所の看守のように、厳しく私をせき立てます。
「はい、この下ですね。」
ん?
でも、ちょっと待ってください。
「お歳暮」の下にあるわけですね。
つまり、それより古いってことになりませんか。
作業を続行しながらも、思考は止まりません。
まるで、地層から生息していた時代を割り出す考古学者のように。
「お歳暮」の下から出てきたダンボール箱。
ひと際サイズが大きいんです。
一体、何が入っているんだ?
さきほどのYさんの発言から、てっきり石鹸だと思ってました。
みなさんも、そう思われましたよね?
しかし、贈答用に使われる石鹸の詰め合わせの箱ではありません。
箱には、特に、商品名の表示はないようです。
しかも、いかにも後から詰め込んだというように、箱がパンパンにふくれています。
う~む、これは、一体・・・。
ただ、間違いなく言えること。
数秒後に目にするであろう、箱の中に展開する世界。
それが「秩序」ではなく、「混沌」だということ。
これだけは、断言してもいいでしょう。
「それ、それ、その箱です。」
「あっ、はい、これですね。」
勇気をふりしぼって、箱に手をかける私。
ん?
重いぞ。
何が入っているんだ?
長年の歴史を物語るように、ダンボール箱のフタは端っこがちぎれています。
交互に折り重ねられたフタを開けたその時。
「こっ、これは何ですか?」
さて、そこに待ち構えていた熟成の一品とは?
アンモナイト?
三葉虫?
はたまた・・・。
-つづく-
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