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それは、すでに神の領域。
行ってまいりました。
Yさん宅です。
Yさんでピンと来られない方は、こちらをどうぞ。
(Yさん伝説:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27)
「さあ、先生。召し上がってくださいね。」
「はい、いつもありがとうございます。頂きます。」
その日のメニューは、豚しゃぶ。
これまで、何度か登場しました。
Yさん自信の一品です。
大皿にたっぷりのレタス。
そして、山盛りの豚しゃぶ。
さらに、脇に控えるタッパーには、今や遅しと出番を待つ豚しゃぶたち。
今日も、出だしから、「満腹注意報」が発令されます。
「そうそう、先生、冷蔵庫からアレ、とってくれます?」
「ごまだれドレッシングですね?」
「そうそう、もうツーカーね(笑)」
そう、その日も伏魔殿の扉に手をかけてしまいました。
「ふぅーっ」
呼吸をととのえて、取っ手を握る手に力を込めます。
扉の内側。
ドレッシングポケット。
今日は、どんな混沌の世界が展開されているのだろう。
「!」
・・・な、なんだ、これは。
過去の伝説では、魚の切り身が横たわっていましたね。(「梅しそは立てるべからず」)
おかげさまで、その日は、魚の切り身はございませんでした。
かわりに、鎮座されておられたのが、コレ。
菓子パンです。
しかも、3個。
多分、ジャムパンだと思います。
ドレッシングのビンの上。
しっかりと占拠されておられます。
「ここが私の居場所よ。」
そう主張しているような堂々とした居住まい。
本来、あなたの居場所はそこではないはず。
しかし、テコでも動かない強い意志がヒシヒシと伝わってきます。
まるで、日ソ不可侵条約を破って、千島列島を占領したソ連軍のように。
Yさん宅の冷蔵庫。
このように、スペースを最大限に活用されています。
メーカーさんの想定している容量のほぼ1.5倍は、使われているでしょう。
ここで、視線を伏魔殿の正面に向けてみましょう。
4段あるメインの棚。
それぞれ、びっしりと、詰め込まれています。
この中に収容されたら、間違いなく、窒息してしまいそうです。
通常、モノを収納しても、上の棚との間には、若干、すき間が生じるものです。
そうですよね?
しかし、Yさん宅では、そんな空間のロスは許されません。
肉や魚の切り身などのパック。
つまり、横にして収納できるもの。
それらをこれでもかと、詰め込んでいらっしゃいます。
このことを先日、大阪でセミナーを開催された沖縄の照喜名先生にお話ししました。
「・・・まるで、テトリスみたいですね。」
「テ・ト・リ・ス!」
「ええ、すき間なく、詰め込んでおられるんですよね?」
「うまいっ!うま過ぎます。沖縄人にしておくのはもったいない。」
「はあ(笑)」
「これ、早速、ブログで使わせてもらっていいですか?」
「どうぞ、ご自由に。」
・・・と、密かにこんな会話が交わされていたのです。
そっかあ、テトリスかあ。
まさに、そうですね。
Yさん宅の場合、収納されているモノの大きさがそれぞれマチマチなんです。
大きなタッパー、小ぶりのビン、切り身のパック・・・。
しかし、それらが見事に、すき間なく詰め込まれています。
つまり、この混沌の世界。
それでいて、調和がとれているのです。
これは、すごいことですよ。
一般人には、マネができません。
テトリスでも、ブロックの大きさが同じなら、これは簡単。
簡単過ぎて、ゲームにならないでしょう。
調べてみると、本来、テトリスでは7種類のブロックがあるそうなんです。
しかし、伏魔殿に収容されている一品。
とても7種類では収まりません。
それをすき間なく詰め込んでいるYさん。
これは、テトリスでも国際的な上級者として、君臨されるのではないでしょうか。
脳科学でいう空間認識能力に優れておられることは間違いありません。
さすが、カリスマ的存在。
類まれな才気を発しておられます。
「ほら、先生。早く取ってくださいよ。」
「あっ、はい。すいません。」
ジャムパンは、心ならずも、その身を食卓へと移します。
不満そうに、そして、寂しそうに。
まるで、ダム建設で思い出の詰まった自宅を強制的撤去されるかのように。
「さあ、たっぷりとかけましょうね。」
ご自分が食べられるなら、こんなにはかけないだろうに。
豚しゃぶの山頂から麓(ふもと)へと。
土石流のごとく、ごまだれが表面を覆い尽くします。
「ああ、Yさん。それぐらいで結構ですから。」
「あら、そう?」
まだまだ、かけ足りないと不満そうなYさん。
「あっ、これは、なすの田楽ですね。お味噌のいいにおいがしますね。」
「ああ、そのお味噌はね・・・(後略)。」
ごまだれの不完全燃焼を、なす田楽に矛先を変えて、しのぎます。
「さあ、召し上がってくださいね。」
「おいしそうですね。では、頂きます。」
メインは、豚しゃぶ。
しかし、その日も当然のように、数多くのタッパーやビンが食卓に並びます。
「これを先に食べてもらって・・・で、その後に、これを、これに混ぜて・・・。」
そう、私が何をどう食べるか?
それは、当然のように決められているのです。
そんなものは、最初から存在していないのです。
私に箸先を自由に動かす権利など・・・。
「いやあ、さすがにこの豚しゃぶは絶品ですねえ。」
「そうでしょ。その豚肉はね・・・(後略)。」
いつもながら、順調(?)に事が進んでいったかのように見えたその時。
お母さんが不意に台所に登場されます。
「○○ちゃん、これ、片づけておいて。」(〇〇=Yさんの下の名前)
そう、お母さんがYさんに手渡したそのひと品。
それが、私にトラウマのごとく、脳裏に刻み込まれる新たな伝説を生みだすことになるのです。
果たして、その一品とは・・・。
-つづく-
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