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言わずと知れた本格ミステリーです。
「ほら、先生。それよ、それ。」
Yさんが指差す先。
でも、そこにあるのは、箸立てがあるだけ。
詳しく言うと、箸立てが2つあります。
1つは、お箸が入っている箸立て。
もう1つは、スプーンやフォークが入っています。
しかし、一見、そこには、「食べ物」が見当たりません。
あのー、ちょっとここでお詫びをさせてください。
昨日、仏壇のお供えのご飯の件。
早速、様々なメールを頂きました。
「うちでも、おばあちゃんは、以前から食べてましたよ。」
同様のメールを他にも頂きました。
大変失礼しました。
わが家では、なかった習慣でしたから、驚いてしまいました。
このあたりは、なかなか情報共有の機会が少ないものですから。
やはり日本人のDNAに脈々と根づく「もったいない文化」なんでしょうね。
それぞれのお宅ごとに受け継がれてきた「文化」があるわけです。
しかし、ただいまより、ご紹介する「伝説」。
「ああ、それは、わが家でもやってるよ。」
って、おっしゃる方がいらっしゃったら・・・。
是非、ご連絡ください。
一度、じっくりお話を聴かせてください。
というより、今すぐにでもお会いしたいぐらいです。
この状況を説明するには、少し事前説明が必要です。
そう、いきなり答えをお話ししても、分かりにくいからです。
「まなブログ」も、分かりやすさをモットーにしております。
まるで、裁判員制度を取り入れた司法機関のように。
まず、こちらをご覧ください。
これは、過去の伝説でも登場しましたね。
そう、高知県名産、天日干しの「うるめいわし」です。
今回も、お土産に頂いて来たんです。
で、結論から申し上げます。
Yさんが、指差しておられたのは、この「うるめいわし」だったんです。
しかし、申し上げたように、その指差す先には、箸立てが2つあるだけ。
みなさん、これをどう解釈されますか?
ここで、「続きは明日」にすると、かなりブーイングですね(笑)
いちおう、わが家の箸立てで解説します。
無理やりスプーンとフォークに入れ替えました。
こんな感じです。
で、「うるめいわし」ですが、2匹がこんな状態にラップでくるまれてました。
もちろん、実際には、しっかり火が通されておりました。
私は、お皿か、ビンを探していたんですね。
もしくは、タッパーか。
「食べ物」を探すわけですから。
これには、みなさんも異論はございませんね?
甘かったんです。
ご縁を頂いて、早2年。
「想定外」がYさんの持ち味といいながらも。
これは、次元が違いました。
はい、よろしいですか?
ご準備のほうは。
しっかりと丹田に意識を置いてくださいね。
でないと、遠隔で黒魔術の呪詛(じゅそ)にかかりますよ(笑)
天日干しのうるめいわし。
こんなところにいらっしゃいました。
①「!!!」
②「・・・」
③「えーーー」
あなたの反応は、このいずれかではないでしょうか?
ちなみに、私は②→①でした。
まず、これが、「食べ物」であると脳が認識するのに、数秒かかりました。
そして、それがうるめいわしの尻尾であることが分かった時の衝撃。
いや、声が出なかったんです。
黒魔術の奥義「金縛りの術」ですね。
これでは、イチロー選手の9年連続200本安打もかすんでしまいます。
私が編集長なら、一面差し替えです。
確かに、Yさん宅の食卓は、小さいんです。
何と言っても、お母さんとふたり暮らしですからね。
しかも、お母さんは、ベッドの横にある脇卓で食事されるんです。
で、その小さめの食卓。
食事の時以外でも、ビンやタッパーが所狭しと並んでいるわけです。
だから、お皿が置けるスペースは、ごく限られています。
その日のメインディッシュは、豚しゃぶ。
うるめいわしがお皿を確保できるスペースは、どこにも見当たりません。
そこで、空間認識能力の高いYさん。
三次元的思考を活用されたわけです。
冷蔵庫だけではありません。
Yさん宅には、無駄なスペースなど、どこにもないのです。
まるで、立体駐車場のような斬新的な発想。
斬新すぎて、凡人には理解できませんでした。
実は、自宅でこの写真撮影をしている最中。
恥ずかしながら、母に見つかりました。
「!!!・・・何してるの?」
箸立てにいわしを突き刺している息子を見て・・・。
母はどう思ったことでしょう。
三十路も半ばを過ぎて、親に心配をかけるのは、誠に心苦しいところです。
しかし、この現場を目撃した衝撃は、とても私ひとりの胸の内に収められなかったのです。
・・・母よ、許したまえ。
「・・・この突き刺さっているやつですか?」
「そう、天日干しのうるめいわしですよ。」
「はあ、以前、頂きましたね。」
「そうそう。また、高知から送ってきたんです。」
「・・・また、豪快な盛り付けですね。」
「はは、そうでしょ。まるで、シンクロの選手が水中から足を出してるみたいね。」
・・・シンクロですか。
うまい例えですね。
確かに、水面から足が2本、出ているみたいです。
しかし、その時の私。
そんなポジティブに受け止める余裕はございません。
シンクロと言うよりは、こんなかんじ。
そう、横溝正史の人気シリーズ「金田一耕介」。
中でも、名作として名高い『犬神家の一族』。
そのあまりにも有名なワンシーン。
箸立てから突き出した、うるめいわしの2本の尻尾。
私の目には、こう映りました。
「さあ、先生。頭からガブリといってちょーだい。」
「はあ、どうも・・・頂きます。」
相変わらず、健在でした。
その固さ。
顎関節がギシギシと悲鳴をあげています。
しかも、頭は炭になってます。
恐る恐る尻尾から、かじらせて頂きました。
「あのー、Yさん。」
「は?」
「頭だけ、残しちゃったんですけど・・・。」
「ああ、焦げてたでしょ。」
「・・・。」
慈悲深い。
あまりにも慈悲深い。
この秋。
新型インフルエンザの猛威が懸念されています。
湿度、気温が高くても、この感染力。
しかし、気を付けなければならないのは、それだけではありません。
黒魔術の呪詛は、時間と距離をも超越するのです。
もし、あなたの食卓でも、箸立てにいわしが突き刺さっている日が到来したら・・・。
「アルマゲドン(終末の日)」は、すぐそこまでやって来ているのかもしれない。
-完-
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