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言わずと知れた、ジブリの名作のテーマ曲ですね。
行ってまいりました。
Yさん宅です。
「Yさん」でピンと来られない方は、こちらをどうぞ。
(Yさん伝説:1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55)
「はい、先生、本命よ。」
「えっ・・・ありがとうございます。」
ちょっぴり遅めのバレンタインチョコをもらった私。
「あら、それじゃあ、私も。」
お母さんもすかさず反応。
一瞬、売り場に姿を消されると、
「はい、コレ、先生。」
私の胸元に押し付けるように。
って、コレは、売り物の『小枝』じゃないですか。
「あっ、ありがとうございます。」
お二人からモテモテのホットなおもてなし。
今宵も熱い夜を過ごせそうな予感。
「今日はもう夕食を召し上がって来られたんですよね?」
「ええ、しっかり頂いてきましたので、お気遣いなく。」
その日もYさん宅にお邪魔したのが夜の9時。
出張治療の合間にシーフードカレーを食べてきました。
もちろん、前日にお電話をして、しっかりその旨はお伝えしております。
「って、伺ってましたからね。」
「はい。」
「今晩は何も作ってないんです。」
「ええ、もちろん。結構ですよ。」
そのために、前日、しっかり電話で釘を刺させてもらったわけです。
わが身を守るために。
「でも、おうどんぐらいなら、ちょうどいいんじゃいかって。」
「えっ!?」
「一食分、買っておいたんです。」
「はあ・・・どうも。」
基本的にね。
「食べない」っていう選択肢はないんです。
私が直前に夕食を食べていようが知ったこっちゃありません。
しかし、まあ、うどんくらいなら、何とかなるでしょう。
「じゃあ、先生。冷蔵庫を開けてもらえます?」
「はい、ここですか?」
そこは、相変わらず混沌とした世界。
今日は、ドレッシングの上に半分黒くなったバナナの房が覆いかぶさっています。
「え~と、下の段のね、左側にありますから。」
「あっ、はい、コレかな?」
「ちょうど一食分、あるでしょ?」
おっと、コレは、道頓堀の名店『今井』のうどんじゃないか。
私も一度行ったきりだが、きつねうどんは定番中の定番。
まさしく関西風味の王道。
大阪へお越しの際は、一度、ご賞味ください。
「へえー、今井のうどんじゃないですか?」
「そうでしょ。」
「これは、通販で購入されたんですか?」
「違うのよ。いつもの『八百屋』が持ってくるんです。」
はい。
新たな重要人物の登場です。
この『八百屋』とは、ただの八百屋ではありません。
わざわざ奈良県から行商に来られるのです。
週に2~3回、Yさん宅に立ち寄られます。
いつも午前中に来られます。
だから、私は滅多に会うことがありません。
一度、別件で午前中にYさん宅を伺った際。
ちょうど立ち去られる時に見かけただけです。
小型トラックに商品を山のように積んでおられました。
で、この八百屋さんは、ご兄弟が魚屋さんをされています。
だから、野菜だけでなく、鮮魚も扱っておられます。
他にも、お惣菜やお漬物など、ありとあらゆるモノを。
そうそう、Yさんお気に入りの「刺身クラゲ」も出所はココです。
この『八百屋』さんにとって、食通のYさんはお得意様。
いつも珍しい商品をオススメされるそうです。
それも半ば強引に(笑)
買い物を終えた後。
よく頼んでもいない商品がビニル袋の底から発見されるそうです。
もちろん、精算に含まれてます。
しかも、気付いた頃には、八百屋さんは立ち去られた後。
でも、30%ぐらいの割合で、これが「アタリ」なんだそうです。
けど、「ハズレ」の時は、しっかりと文句を言ってやるんだとか(笑)
しかし、八百屋さんは、しれっと聞き流されるみたいです。
まあ、Yさんも苦笑いされながら、そうやって「駆け引き」を楽しまれているのです。
Yさんを出し抜くこの八百屋さん。
かなりの「やり手」と私は見ています(笑)
で、私にとっても、この八百屋さんの果たす役割は重要です。
「今日は、滅多に入荷しないこんなのあるよ~。」
って、Yさんを刺激されるんです。
で、たまに、Yさんからもリクエストされるんだそうです。
「もっと~なの、ないのぉ?」
そう、まさしく魔界の食材の配達人。
つまり黒魔術の手先。
私は、この八百屋さんのことをこう呼んでいます。
『魔女の宅急便』
「そうですかあ、いつもの八百屋さんから。」
「そう。で、先生。そのうどんの上に何か載ってませんか?」
確かに、うどんのパックの上に何か包みが。
「それね。うどんに合うからって、八百屋にセットで買わされたんです。」
「えっ、何ですか?」
「おいなりさんです。」
包みをほどいてみると、おいなりさんが6個並んでいます。
「あら、先生。おいなりさんとおうどんはセットみたいですよ。」
「・・・。」
今さらながらに悔やまれます。
3時間前に「coco壱」でシーフードカレー400gを食べたことが。
「じゃあ、先生。おうどんがゆであがるまでにつまんでおいてください。」
私の回答も待たずに既成事実は、すでに出来あがっているのです。
ここで抵抗したところで、逆に傷口を広げかねません。
そう、魔界では、おいなりさんが「主食」と認定されることはないからです。
「・・・では、頂きます。」
まあ、おいなりさんが、まだ小ぶりだったことが救いでした。
一個ずつ着実に胃袋に収めていきます。
Yさんは、まるで椀子そば早食い競争の審判員のように、その姿を横目でとらえておられます。
で、おいなりさんを何とか完食した刹那。
「あら、ちょうどいいタイミングでおうどんが出来ましたよ。」
完食しないうちには、次のステージには進ませないぞ。
確固たる意思がヒシヒシと伝わってきます。
「・・・では、頂きます。」
うどんはね。
確かに、おいしいです。
麺もコシがあります。
出汁も上品な薄味です。
しかしね。
「揚げ」が効きました。
分厚いお揚げさんが2つも入っているのです。
で、直前に頂いたのが、おいなりさんでしょ。
しかも、6個。
これが意図的だとしたら、直江兼続以上の策略家です。
普段なら、ふた口くらいで食べる揚げ、
ひと噛みずつ、胃と相談するようにかじっていきます。
で、真正面でYさんの鋭い視線が注がれているでしょ。
逃げ場がないんです。
まるで、チーターに追い詰められた傷ついたトムソンガゼルのように。
でも、やりました。
ついに、やり遂げましたよ。
最後の麺がのどを通り過ぎて行きます。
ひと息つこうとした刹那。
「平原の狩人」は、その瞬間を待ち構えていたのです。
「あら、先生。そのおうどんは、出汁がおいしいのよ。」
「・・・。」
知ってます。
十分に存じ上げております。
何と言っても道頓堀の老舗ですものね。
しかし、私の胃袋には、もう出汁が入るスペースがどこにも見当たらないのです。
ここは、Yさん対策の基本技で回避しましょう。
形だけ、ちょこっと出汁をすすります。
「ああ、やっぱり上品な薄味が最高ですね。」
「でしょー?」
「ところで、この出汁は、一体、何から取っているんでしょうね?」
「そりゃ、先生。もちろん、昆布と鰹じゃないですか。」
「ほお。でも、普通の昆布と鰹じゃないんでしょうねえ。」
「そうよ。確かね・・・(後略)」
お分かり頂けましたか?
特に、来月、伝説ライヴに参加されるみなさん。
草食動物が百獣の王を相手に生き残る術は、コレしかありません。
間違っても、まともに立ち向かうのは避けるべきでしょう。
安易な決断は、あなただけでなく、「群れ」ごと餌食になってしまうからです。
ふぅーっ。
ほっとひと息。
今宵も教祖様の黒ミサが幕を閉じようとしています。
「では、ごちそうさ・・・。」
湯呑みで玄米茶を頂きながら、締めに入ろうとした刹那。
「あっ・・・ちょっと待って!」
反射的に、私の立毛筋が収縮します。
「えっ、どうされましか?」
「うっかり忘れるところでした。」
「はい?」
「今日、八百屋からもう一品、買わされたんです。」
「はあ」
「お口直しにちょうどいいですから。」
はてさて、「魔女の宅急便」からもたらされたその一品とは?
-つづく-
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