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やはり女性にはかないませんね。
肉そばのおかげで、ベッドで溺死していた私。
携帯が鳴って目覚めます。
「そろそろ、例のそば屋さんへご案内します。」
照喜名先生からのお迎えコール。
これは、以前からのお約束事。
大阪のYさんに匹敵する名物オヤジが沖縄にいるらしい。
で、そば屋さんみたいなんですね。
ちなみに、沖縄で「そば」と言えば、「沖縄そば」のことを指します。
私たちが普通に「そば」って言ってるのは、「日本そば」「和そば」と言うそうです。
しかし、ほとんどないみたいですね、和そばのお店は。
那覇市から20km。
沖縄市にそのそば屋さんはあります。
「お店の名前は何というんですか?」
「『沖縄そば』です。」
「えっ?」
「店の名前がないんですよ。」
「はぁ。」
「そば屋なんだから、『沖縄そば』って書いてりゃ十分だろって。」
「おっしゃるとおり(笑)」
なるほど、『ぼん太』に通ずるものがありますね。
悟りを開かれた人は、例外なく、シンプルなのです。
いや~、期待できるじゃないですか、これは。
「ここです。」
大阪なら、ラーメン屋さんっぽい店構え。
「おおっ、いらっしゃい。」
「ご無沙汰しています。」
照喜名先生は、オヤジさんのお気に入り。
「今日は大阪からゲストをお連れしました。」
「おおっ、大阪ですかあ。いや、私もね・・・(後略)」
要約しますとね。
オヤジさんは、大阪の高島屋なんば店で長年勤務されておられたんです。
フロアから外商までひととおり経験されたようです。
その後、沖縄に帰って来られ、ホテルマンなどを経験されたとか。
しかし、人に遣われることに限界を感じられました。
そこで、一念発起され、開業するぞと。
で、やるなら、そば屋だと。
で、豚肉の解体工場で修業されて、秘伝のスープを開発されたんだとか。
「へえ~、それはすごいですね。」
照喜名先生は、小さな声で。
「僕は、この話、8回目です。」
出されたそばは、ほんとに美味しかった。
何か特長を際立たせるというより、定番の王道をいくといった正統派。
キャッチコピーをつけるなら、
「ちゃんとおいしい。」
ってところでしょうか。
オヤジさんのこだわりが垣間見えました。
このオヤジさん。
今は、デパートマンの見る影もありません。
敢えて言うなら、藤井寺球場のダフ屋。
しかも、良い加減に歯が抜けておられます。
だから、フゴフゴと聞き取れないこともしばしば。
人相風体、怪しさ全開です(笑)
でもね。
照喜名先生が「Yさん級」と評されるだけのことはあります。
自分を殺して相手に合わすことはされません。
しかし、それでいて、相手をもてなす気配りがヒシヒシと伝わってくるのです。
これは、ほんとYさんに通じてますね。
例えば、こんなかんじ。
「男なら、黙ってブラジルへ行け!」
と、極論を吐かれたと思えば、
「その道に進もうっていうきっかけは?」
「鍼っていうのは、どういう理屈で治療するの?」
「私も堺には一度だけ行ったことがあるんだけど・・・」
ここが、ただの酔っ払いとは違うところ。
酔っ払いはね。
自分の話だけなんです。
一人で延々と、自慢と評論が続きます。
けど、同じ長話でもね。
オヤジさんは、キャッチボールしてるんです。
しかも、ゲストである私の話題で。
お気に入りの照喜名先生が連れてきてくれたゲスト。
だから、私に関連する話題をネタにされます。
ゲストをもてなすことが照喜名先生の顔を立てることですからね。
「よし、じゃあ、エビス一本、持ってきな。」
照喜名先生にそう言われ、エビスを振舞って頂きました。
もちろん、オヤジさんのおごりです。
「沖縄ではオリオンビールかと思ってました。」
「違う、違う。」
「なぜ、エビスなんですか?」
「うまいから。」
分かりやすい。
「なぜ、カルピスなんですか?」
「おいしいから。」
Yさんと同じですね。
理屈はいらないんです。
しかも、オヤジさんはね。
「目配り」が並みではありません。
話されながらも、私や照喜名先生の手元やグラスに視線を向けられています。
「ほら、もうグラス空いてるよ。」
スナックのお姉さん並みの鋭いチェック。
で、会話していて思ったんですけどね。
この人は人を見てるなって。
酔っ払ったようなしゃべり方をされてますけどね。
時折、ふと向けられる視線に「目力」を感じるんです。
ああ、受け答えで「私」を見られてるなって。
さすがは、元百貨店マンです。
そりゃ、外商なんかされてたのならね。
そこらあたりの機微に精通されていないと仕事になりませんものね。
逆に、そんなお仕事を長年されてきた反動なのでしょうか。
今は、わざとぞんざいな口調をとられているように見えます。
しかし、それは、オヤジさんの照れ隠しなのかも。
そう思えると失礼ですが、可愛いくもあります(笑)
30分くらい楽しませてもらったでしょうか。
別の常連さんが来られたのを機に失礼することにしました。
あとで照喜名先生にうかがったところではね。
オヤジさんは、誰に対しても話しかけるわけではないそうです。
相手をみて、会話に乗って来そうな人だけを選んで話しかけているのだとか。
で、そういうお気に入りのお客さんには、商売度外視でもてなされるそうです。
照喜名先生も過去に何人かで来店したところ。
冷蔵庫のエビスビールを7~8本、タダで振舞ってもらったそうです。
で、オヤジさんが一番盛り上がってしまい、
「ヨシ、これから飲みに行くぞ。」
と勝手に店を閉めてしまい、そのまま、みんなで居酒屋へ。
しかも、全部、オヤジさんのおごり。
つまりね。
楽しんでいらっしゃるんです。
しかし、自分を殺して相手に合わすことは決してされません。
そばの味にケチをつけた酔っ払いには、
「金要らねえから、すぐに出てけ!」
と叩き出されるそうです。
自分にウソをつくことをされない。
長年の百貨店勤務から得られた「悟り」なんでしょうね。
だから、そのオヤジさんのストレートな心情をね。
楽しめたら、いいわけですよ。
フゴフゴと聞き取れない会話でもね。
適当な受け答えでいいわけです。
オヤジさんもちゃんとした回答を求めているわけではありません。
「場」なんですよ、「場」。
お互いが相手を受け容れられた時に生まれる「場」。
そこでは、言葉のやり取りってオマケなんですよね。
話題は、何でもいいんです。
大事なのは、心の波動。
「大阪のハシモト知事のことをずっとサカモト知事って言ってましたね(笑)」
「そうですね(笑)どっちでもいいじゃないですか。」
「いや、さすがですよ、谷田先生。」
「は?」
「中には、それを訂正しちゃう人もいますからね。」
「えっ、そうなんですか?」
照喜名先生によりますとね。
セラピスト仲間のSさんと来店された時のこと。
Sさんは、正義感の強い方。
で、何でもきっちり白黒つけたがるタイプ。
オヤジさんと激論を交わされたそうです。
「で、テーマは何だったんですか?」
「何だと思います?」
「さあ、野球ネタではないんですよね?」
「ええ、あまりにも馬鹿らしくて、ひきますよ。」
何だとも思います?
確かに、島トウガラシのように刺激的な話題です。
そのテーマとは・・・
「河童は実在するか?」
だそうです。
笑、笑、笑。
どんな流れでそうなったかは覚えておられないそうです。
ただ、何かのはずみでそうなって、
「河童なんて、いるわけないだろ。」
「なぜ、そう言い切れるんですか?」
「じゃあ、おまえは『いる』って証明できるのか?」
「逆に『いない』って証明できますか?」
・・・子供のケンカじゃないですか(笑)
最初は笑って聴いていた周囲のみなさんもね。
最後には、呆れておられたようです。
で、最後にはオヤジさんが根負けされて、
「もう、おまえには付き合っておれんっ!」
って、そこまで30分も付き合っておられたのは、すごいですね(笑)
で、その次に来店された時、
オヤジさんは照喜名先生にこう訊かれたようです。
「今日は『河童』は来てないのか、『河童』は?」
「Sさん=河童」扱いにされてしまったようです。
このエピソードをうかがってね。
私は、サラリーマン時代を思い出しました。
当時は、職場のオジさんたちとも飲みに行きますよね。
「違う、違う。そうやなくて、こうせんとあかんのや。」
「いや、それが失敗の元なんや。ここは、こうしてやなあ。」
オジさんたちはね。
「議論」が好きなんです。
横で聴いてる私にはね。
どっちも大して「違わない」んですよ。
何でもね。
「勝ち負け」にしちゃうんです。
「ここの揚げだし豆腐、おいしいですよね?」
「違うな。ホンモノの揚げだし豆腐っていうのはなあ・・・(後略)。」
認めたくないんですよ。
認めると「負け」だと思ってしまうんです。
その点、女性は違いますね。
「ここのつくね、おいしいよねえ。」
「ほんと、ほんと。そう言えば、○○のつくねもね・・・(後略)。」
まず、「共感」なんです。
「理屈」なんかどうでもいいんです。
「場」を楽しむことにかけては、女性にはかないませんね。
かくいう私も「白黒つけたがる」暑苦しいやつでしたね(笑)
その反省は、現在に活かされています。
講座でもね。
何を話すかよりも「場」を演出することが大事です。
参加者のみなさんもね。
話したことの9割方は、翌日には忘れてますからね。
これは、脈ナビをやらせてもらうようになって、特に思いますね。
「頭」では分かっていなくても、「カラダ」では分かっています。
場の波動は、すぐに脈に表れます。
つまり、生命として、居心地がいいか、悪いか。
目に「見える世界」以前に、「見えない世界」がそれを決めているのです。
みなさんも沖縄へ行かれた際は、是非、オヤジさんのお店へ。
あなたが「場」を楽しめる方なら、楽しいひと時をプレゼントしてもらえることでしょう。
翌日は、Yさんが魂を奪われたジンベイザメに会いに行きました。
-つづく-
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